新聞広告 朝日新聞

朝日新聞
AD+D+I:齋藤浩

朝日広告賞入選作品。コピーはもちろん望月和人氏(東急エージェンシー)。

ちょうど箱根駅伝のポスターを制作した直後だったので、その勢いで一気に仕上げた。

21世紀になったところで新聞がすぐに電子化される訳でもないし、スピードではインターネットにはかなわない。では、新聞のシズルとは?と考えたら、やっぱり『毎日印刷物を人の手で届けること』に尽きる。との結論に達した。

ちょうどその頃『巨人の星』の原作漫画を読んでいて、星飛雄馬が朝日を見上げて涙するシーンがあったのだが、その朝日の表現が旭日旗そのままなことに衝撃を受けたのだ。バカすぎてパワフルというか、10週遅れのトップランナー的な強さを感じた。朝日をバックに新聞少年という“そのまんま”をあえて採用したのも、この体験があったからこそ。

さて、少年が届ける新聞は21世紀最初の新聞じゃなくちゃね、ということで元旦のトップ記事を見ると『世田谷一家4人惨殺』だった。これはいくらなんでもいかん。毎朝一面の見出しをチェックしたが、見事なほど明るい話題がない。締切ギリギリのところで行方不明になっていた赤ちゃんが無事発見され、これだ!と入れ込んだ見出しが「29歳の女を逮捕」。最後まで不安だったが、結果イトイさんに「制作者のインテリジェンスを感じる」と褒められました。